ほとんど地球の反対側に住んでいる友人からメールが届いた。時差とかお構いなしに真夜中に着信していた。
ミッションインポッシブルを観た
早く観に行け
ラストシーンに気になる看板が出てくるから確認しろ
ざっとこんな内容だった。
ここ数年、いやもう10年くらい、本当に映画を観なくなった。本も読まない。読み始めたら読むし、見始めたら見るんだけど、とにかく腰が重い。
この間テレビで『君たちはどう生きるか』が放送されると知って録画はしたのだがまだ観ていない。そういえば音楽もあまり聴かなくなった。
20代の頃は、毎日のように何かしら観ていたし、読んでいたし、聴いていたのに。
良くない。
何が良くないのかはっきりしないけど、なんか良くない。夜空の星を見上げなくなったらやっぱりなんか良くない気がするように、夜空なんか見上げなくても死にはしないのに。
ラジオで紹介されていた『限りある時間の使い方』という本を買った。去年の暮。それが最後というわけではなく、それから二冊くらいは読みましたよ。読みました。本当です。
その本の中で、ハーバード大学で美術史を教えるジェニファー・ロバーツという人が、生徒にこんな課題を与えるらしい、と。
〈美術館に行って絵画か彫刻かひとつ選び、3時間じっと見る〉SNS、メールは一切禁止。スタバにも行くな。
忍耐の大切さ、価値、そんなことを問うくだりだったかと思う。
想像するだけで恐ろしい。しかし興味深い。試しにやってみようと思ったけれど、実際美術館で男がひとり一枚の絵を3時間見つめていたら、あの、あれ、監視員?と言っていいのか、部屋の隅っこにじっと座っている人がいるでしょう。心配するよね。ああいう人たちって来場者がルール違反をしない限り声をかけたりしないものでしょう。でも声をかけるんじゃないか、さすがに。一枚の絵を3時間見続けるのも恐ろしいけど、見続ける人を見続けるのはもっと恐ろしいと思う。
というわけで、まだ実行に移していない。なにせ億劫だ。ミッションインポッシブル(不可能な任務)だ。
よし、うまく繋がった。
『ミッションインポッシブル』を観るか観ないかはまだ分からない。『君たちはどう生きるか』もまだ観ていないというのに。
さて、10月の本公演に向けて今月から稽古再開。


劇団員が増えて7人になりました。
公演情報を更新しました。
劇団コダカラ 西村健太郎