何があったか、それは内緒だけど、人生で一度だけ、手が震えて自分の名前が書けなくなったことがある。
腕を伸ばし、縮め、また伸ばし、なんとか書き切ったけど。
本当にこんなことってあるんだ。そう思った。
シアターゲームを考えて稽古場に持ち込む。
10通りのシチュエーションを書いたカードを用意し、その中のひとつを二人一組になって即興で演じ、見ている人にどのカードを引いたかを当ててもらう。即興で話す内容は、シチュエーションからかけ離れたものを指定した。〈父親の余命宣告を医者から聞いた二人〉に、犬派か猫派か議論してもらう、とか。
台本を使って稽古をしていると、与えられているシチュエーションと身体が一致していない気がして。仮にセリフがなくても、見ている人になんとなく状況を察してもらいたい。
これで良くなるかというと疑問だけど、何かしら気づくことがあればなぁ、という。
もし、手が震えて自分の名前が書けないシーンがあったら、通常の身体の状態ではないと思うし。そこが一致していないと嘘くさく見える。正直、一致はムリでしょ、とは思う。難しいけど。
見ていると、すぐに分かる人もいれば、どのカードを選んだのか悩まされる人もいる。
面白かったので、また色々なシチュエーションを用意してやってみたい。
その後、稽古用の台本を使って稽古しました。
(西村)
