役者について

偉そうに、役者について書いてみたい。せっかく劇団を立ち上げたわけだから、自分の考えをまとめてみよう!(劇団員募集中です!!)

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いろんな演出家のもとで学んだ。10人もいないけど。

共通しているのは二点かなと思う。

1.会話をすること。

2.シチュエーションに身体の状態が合っていること。

【会話をすること】

セリフ(言葉)を相手にかける。相手のセリフを聞く。

役者がたいへんなのは、台本があることじゃないかと思う。

先が分かっている。

相手の出方を知っている。

結末を知っているから安心している。

安心して、自分のセリフに夢中になる。

結果、セリフ(言葉)を相手にかけないし、相手のセリフも聞かないので、会話にならない。

ここまでではないにしても、おろそかになる。

〈リアクション〉という言葉を使う演出家もいた。相手のセリフがあって、次のあなたのセリフはリアクションだと。

たぶん相手のセリフを無視して、前後関係なく自分のセリフを言っているから浮いてしまう。会話になっていない、ということだと思う。

【シチュエーションに身体が合っているか】

演劇に限らず、映画でもなんでも、脚本にはだいたい緊張感のあるシーンがある。一生に一度、少なくとも五年に一度の修羅場くらいは必ずある。

日常の風景を描くものもあるけど、相手が初対面だったりする。

恋人に別れを告げるとき、結婚を申し込むとき、緊張しない人がいるだろうか。

バイトの面接で緊張しない人がいるだろうか。

初対面で緊張しない人はいそうだけど、普段とは違うはず。

それなのに役者が緊張していないのは変だ。

演技で緊張しているように見せかけても、役者本人が緊張していない。自宅のリビングで一人テレビでも見ているかのような身体の状態。

これはバレる。

いくら演じきったと本人は思っていても、100%バレる。

セリフの中に《緊張感のあるシーンです!》という情報は入っているはずなので、なんとかついて来てくれるお客さんはいるだろうけど、苦しい。役者の身体は緊張していないから違和感がある。「いったいどういうシーンなんだろうか」と分からなくなる。

僕も何度か演出をしたことがあって、この状態を見ているとてきめんに眠くなる。

嫌味ではなく、体が勝手に反応して眠くなる。お客さんも同じだと思う。

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この二点は分けて考えるものでもないと思う。

僕はこれが、演技のいろはの「い」だと思っている。

「ろ」と「は」については、自信をもっては言えない。役作りに関わることだったり、作品への理解度だったり。

初舞台の人が、時に良く見えるのは後者の一点ではないかと思う。

緊張している。

だからなんとなく脚本のシチュエーションにハマってしまう。(もしかするとビギナーズラックみたいなことかもしれない)

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日常的な稽古が必要なのか?台本もない。

でも、本番一カ月前から稽古をして、こういうことがわずかでも解消できるとも思えないので、徐々に稽古をしながら体感できるようにしたい。その稽古を。

楽しみたい!

劇団コダカラ/代表 西村健太郎